山火事で可搬ポンプが壊れる

防災知識

山火事などの現場で「可搬(かはん)ポンプ」を使って高い場所へ水をおくる(送水する)とき、「背圧(はいあつ)」という力に注意しなければなりません。背圧を理解していないと、せっかくのポンプがこわれてしまい、救助や消火活動ができなくなってしまいます。

背圧について、ポイントをわかりやすくまとめました。

背圧(はいあつ)ってなに?

背圧とは、一言でいうと「水が坂道を転がり落ちてくるときに、ポンプを押しかえしてくる力」のことです。

重力があるため、水は高いところから低いところへ落ちようとします。山の上に向かってホースをのばして水を送っているとき、ホースの中の水は常に「下へ戻りたい!」と強い力で戻ってこようとしています。この「戻ろうとする水の重み」が、一番下にあるポンプの出口をギューギューと強く押しつけるのです。

例え話:急な坂道で重いボールを押し上げるイメージ

急な坂道で、大きな重いボールを上に向かって押してのぼっているところを想像してください。 上に行けば行くほど、手の力ぬいたら、ボールは一気に転がり落ちて下にいる人に強い力でぶつかってしまいます。 この「押し返してくるボールの重み」が、ポンプにとっての「背圧」です。それが上から下まで全てかかってくると下に置いてあるポンプには大きな力がかかっていることがわかると思います。

なぜ高低差があるとポンプが壊れるのか?

水は「高さ10メートル」高くなるごとに、約「0.1メガパスカル(MPa)」という圧力で下に押し返してきます。

もし山火事で高低差が50メートルある場所までホースをのばしたら、ポンプには約0.5MPaもの背圧がずっとかかり続けることになります。

この状態で、急に水を止めたり、エンジンを急に切ったりすると、どうなるでしょうか?

① 「ウォーターハンマー現象」による破壊

ホースの中を勢いよく流れていた重い水が、突然行き場を失い、ものすごい衝撃(ハンマーで叩かれたような衝撃)となってポンプに激突します。これにより、ポンプの金属部分が割れたり、内部の部品(インペラやシール材)がバラバラに破損したりします。

② ポンプ本体やホースのバースト(破裂)

背圧に耐え切れなくなったホースが破裂したり、ポンプの接合部から水が激しく吹き出したりして、機械本体が壊れてしまいます。

③ エンジンの焼き付き・破損

強い力で押し戻される水に無理やり逆らってエンジンを動かし続けたり、急に負荷がかかったりすることで、エンジンに過度な負担がかかり故障します。

ポンプを壊さないための「4つの鉄則」

背圧からポンプを守るルールは以下の4つです。

  1. 筒先(ノズル)は絶対に急に閉めない! 水を止めるときは、ゆっくりと筒先を閉めます。急に閉めると、行き場を失った水の衝撃(ウォーターハンマー)がそのままポンプを直撃します。
  2. 中継(ちゅうけい)ポンプを挟む! 高低差が大きすぎる(目安として30〜40メートル以上)場合は、1台のポンプで無理をして送水せず、途中に別の可搬ポンプや「高圧用の中継バルブ」を挟んで、圧力を分散させます。
  3. 逆止弁(ぎゃくしべん)を活用する! 水が逆流してポンプに戻ってこないようにする「チャッキ弁(逆流防止弁)やコワレンゾー」を正しくセットします。
  4. エンジンを止めるときは圧力を抜いてから! 作業を終了するときは、いきなりエンジンを切ってはいけません。回転数を下げ、ホース内の圧力をしっかり抜いてからエンジンを停止します。

まとめ

山火事の現場は慌ただしく、焦ってしまうこともあります。しかし、「高い場所へ水を送るとき、水は猛烈な力で戻ろうとしている」ということを忘れないでください。

道具を大切に扱うことは、自分や仲間の命、そして山を守ることにつながります。高低差がある現場では、常に背圧を意識して、丁寧で安全な操作を心がけましょう!

以上、報告終わり!

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