幼稚園の先生から一本の電話
ある日、勤務中に幼稚園の先生から電話がありました。
「警察官の方が『防犯のために避難口も施錠をしてください』という指導があったですが、、、」という内容でした。
不審者対策などを考えると、その気持ちも非常によく分かります。
ですが、消防の立場としては、避難口は「内側から誰でも、すぐに開けられる状態」であってほしいというのが本音です。なぜそうお願いするのか、理由をお話しします。
「火災」は「不審者」よりもパニックを引き起こす
火災が発生した際、視界は煙で真っ暗になり、大人でも冷静な判断ができなくなります。
• 鍵を探す時間は命取り: 煙に巻かれそうな一分一秒を争う状況で、「鍵を持っている先生はどこ?」「鍵が回らない!」というパニックが起きれば、幼い子供たちの命を危険にさらしてしまいます。
• 誰でも開けられる重要性: 担当の先生が負傷したり、そばにいなかったりしても、近くにいる大人が瞬時に扉を開けられなければなりません。
消防法での「鍵」のルール
実は、消防法でも「避難の支障になるような施錠」は制限されています。
• 原則として、避難口の扉は、避難の際に内側から「解錠(鍵を開ける)」の手間なく、簡単に開けられる構造でなければなりません。
• 鍵が掛かっていて、開けるのに特定の道具や高度な操作が必要な状態は、消防検査でも改善をお願いする対象になります。
「防犯」と「防火」を両立させる方法
警察が心配される防犯面も無視はできませんよね。そこで、消防としては以下のような対策を提案しています。
• パニックオープンシステムの導入: 火災報知器と連動して、火事の時だけ自動で鍵が開く仕組みです。
• 非常錠(サムターンカバー): 普段はプラスチックのカバーなどで覆われていて防犯性を高めつつ、緊急時にはガシャッと割って内側から手で回せるタイプです。
• 警報音付きの扉: 勝手に開けると音が鳴るようにすれば、不審者の侵入や子供の飛び出しを防ぎつつ、避難経路は確保できます。
まとめ
「防犯」も「防火」も、目的は「子供たちの命を守ること」で一致しています。
しかし、私たち消防隊が現場に到着したとき、中から鍵が掛かっていて避難が滞っている状況が一番怖いです。扉の外側はロックされていてもいいのですが、内側からはワンアクションで外へ出られる。この状態を維持してください。
以上、報告終わり!


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