消防士にとって腰痛は、もはや「切っても切れない宿命」のように語られることもありますが、その中身は非常にハードです。なぜそこまで腰を痛めやすいのか、その特殊な背景を整理しました。
なぜ消防士は腰を痛めるのか?
消防士の腰痛は、単なる運動不足とは無縁の「過負荷」と「不自然な体勢」が原因です。
• 装備の重さ(高荷重): 防火衣、空気呼吸器、ヘルメット、無線機などを合わせると、装備だけで約20kg〜30kgになります。これにホースや破壊器具を持つと、常にフルパッキングの登山をしているような負荷が腰にかかります。
• 不自然な姿勢での活動: 煙を避けるために姿勢を低く保つ(低姿勢)、あるいは狭い場所での救助活動など、脊柱に不自然な捻りや圧力がかかる状態での長時間活動が多発します。
• 救急活動時のリフティング: 実は火災現場以上に腰を痛めるのが「救急」です。体格の大きな傷病者を狭い階段から運び出す際、無理な姿勢で力を入れることが致命的なギックリ腰(急性腰痛症)を招きます。そして、救急出動は火災に比べて断然出動件数が多いです。その差は約100倍!
• 「急な」全力活動: 仮眠中や待機中から、サイレン一つで一気に心拍数を上げ、最大筋力を発揮しなければなりません。筋肉が冷え固まった状態での急激な動作が、腰の組織を傷めます。
代表的な症状・疾患
単なる「腰が痛い」で済まず、外科的な処置が必要になるケースも少なくありません。
現場で行われている対策
最近の消防現場では、根性論ではなく「科学的な予防」が主流になっています。
1. パワーリフティング技術の導入: 荷物を持つ際、背中を丸めず股関節を使う「ヒンジ運動」の徹底。
2. 体幹トレーニングの義務化: 「腹圧」を高めて天然のコルセットを作るためのトレーニング。
3. ストレッチの習慣化: 特に出動直後の動的ストレッチや、帰署後の入念なケア。
4. アシストスーツの検討: 一部の自治体では、救急隊員の負担軽減のために装着型の補助装置を試行導入しています。
5. 電動ストレッチャーの導入:近年多くの消防署で、電動のストレッチャーを導入しています。腰痛持ちの消防士だけでなく、傷病者にも優しい器具となりますので、是非検討してください。
豆知識: 消防士の腰痛は、実は「現場」だけでなく、「長時間の車両待機」や「事務作業」との組み合わせで悪化することも多いと言われています。
以上、報告終わり!


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