トンネルは内部に雨水が貯まらないように基本的に傾斜が設けてあります。(入口側が高い、出口側が高い、だけでなく「へ」の字のように真ん中が高くなっていることもあり)
しかし、この傾斜にあることで一度火災が起きると「煙の煙突」や「巨大なオーブン」に変わってしまう非常に特殊で危険な空間です。
もしドライブ中にトンネルで火災に遭遇したらどうすべきか。トンネルの構造による燃え方の違いや、避難のポイントをプロの視点で分かりやすく解説します。
トンネル火災の「性状」:坂道が火の勢いを決める
トンネル火災で最も恐ろしいのは、実は炎そのものよりも「煙の動き」です。ここで重要になるのがトンネルの「傾斜(坂道)」です。
煙突効果(スタック効果)
トンネルに傾斜があると、温まった煙は空気より軽いため、坂の上の方へ向かって猛スピードで昇っていきます。これを「煙突効果」と呼びます。
• 上り坂での火災: 煙は進行方向(坂の上)へどんどん流れます。
• 下り坂での火災: 煙は自分の後ろ(坂の上方向)へ流れていきます。
バックレイヤー現象
さらに恐ろしいのが、天井を伝って煙が「逆流」してくる現象です。本来、風の流れで一方にいくはずの煙が、熱の力で反対方向へも薄く広がってくることがあります。これにより、避難経路が全方向に塞がれる危険があります。
トンネルの「区分分け」と安全設備
日本のトンネルは、長さや交通量に応じて「AA」から「D」までの5つの等級に区分されています。
• 長大なトンネル(AA・A区分): 長さが3,000mを超えるようなトンネルには、強力な「換気扇(ジェットファン)」や、火を抑える「水噴霧設備」、そして命を繋ぐ「避難連絡坑(隣のトンネルへ逃げる道)」が備わっています。
• 短いトンネル: 設備は簡易的ですが、出口が見えるため自力での脱出が基本となります。
トンネル火災の「3つの危険性」
1. 視界ゼロの恐怖: 煙は非常に黒く、ライトを点けても1メートル先が見えなくなります。
2. 逃げ場のない熱: 狭い空間なので熱が逃げず、トンネル内の温度は400℃を超えることもあります。
3. 有毒ガス: 車のタイヤや内装が燃えると、一吸いで意識を失うような有毒ガスが発生します。
4. 火災に遭遇した時の「正しい対処法」
もしトンネル内で火災を見つけたり、巻き込まれたりしたら、次の手順を叩き込んでおいてください。
① 車を止める(キーは残す!)
• 火災を発見したら、できるだけ左側に寄せて車を止めます。
• エンジンを切り、キーはつけたまま(または車内に残して)離れてください。 これは、後で消防隊が救助活動のために車を動かす必要があるからです。ドアロックもしないでください。
② 通報と初期消火(無理は禁物)
• 50mおきに設置されている「非常電話」を使う場合もありますが携帯電話を持っているならそちらで通報してください。どちらでも場所が自動で伝わります。
• 近くに消火器や消火栓があれば使っても良いですが、煙が出てきたらすぐに諦めて逃げてください。
③ 「煙」と反対方向に避難する
• 基本は「火元から離れる方向」に逃げます。
• もし煙が迫ってきたら、姿勢を低くして、壁沿い(煙がひどい場合は壁を持って)に歩いてください。
• 長いトンネルなら、「非常口(避難連絡坑)」の看板を探してください。そこに入れば、煙のない安全なトンネルへ脱出できます。
まとめ
トンネル火災は、最初の数分間の判断が命を分けます。
「車がもったいない」「荷物を取りに戻らなきゃ」という迷いは捨ててください。「車を捨てて、キーを残して、煙から逃げる」。これだけは絶対に忘れないでください。
今度トンネルを通る時、入り口にある「トンネル信号」や、中の「非常口」のマークを意識して見てみてください。その「意識」が、あなたと家族を守る最強の装備になります。
以上、報告終わり!


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